手術大成功

一度家に帰って待つように言われ、その日の夜遅くに、手術成功の連絡があった。


診療時間をとっくに過ぎた夜更けだったけど、
術後のうさっぷに会いに来てあげてください、とのこと。
通例では翌日対面だそうだが、特例と言うことで、
気を使っていただいた。ありがたかった。

術前の説明で、手術がたとえ成功しても、
術後の回復期で亡くなる可能性も高いといわれていたからだ。

その当時、うさっぷよりは貧血の数値がよかった別のうさちゃんが、
手術後に回復が悪く結局亡くなっていたこともあり、
先生にしてみれば、相当厳しい、という見通しだったようだ。


もちろん、覚悟はしていた。


でも、麻酔のショックで亡くなったり、手術中に亡くなったりして、
2度と会えないよりは、最後のお別れだけでも言えるのがうれしかった。


夜中に車を飛ばして会いに行くと、診察台の上のうさっぷは、
一回り小さくなった気がした。
大きく肥大した腫瘍を取り除いて、包帯をぎゅっと巻かれていたからだ。


私たちだと気がつくと、よたよたと歩いてきて、
私の膝もとにがっしりしがみついて、動かなくなった。
まだ術後の出血があちこちについていたので、
先生は「ああ、洋服についちゃう・・」と制止してくれたのだけど。
私は必死にしがみつくうさっぷを、服が汚れても避けられなかった。
たぶん帰りたかったんだと思う。
私たちからは、自宅の匂い、つまりうさっぷの慣れた匂いがしたのかな。
その姿は、まるで駄々をこねる小さな子供みたいだと思った。


先生も、私たちも、ちょっとしんとしてしまった。
なんていうか、こんな風にはっきりと
「頼ってます」っていう意思表示をされたのは、初めてだったので、
私もちょっと驚いたし。
小動物の生態として、慣れた匂いを必死に求めただけだったのかもしれない。
今までは、そういう風にクールに考えてきたのだけど、
このときから、なんとなく、そういうふうに考えるのはやめよう、と思った。
もっと勘違いして、甘えさせよう、と。
実際、本当に、うさぎにだって、いろんな複雑な感情があるのかもと。


結局、感動のご対面の後、
うさっぷはあっさりひきはがされて、入院。


その後なぜか大興奮した先生が、
いかにうさっぷの腫瘍が巨大だったのか、
その学術的意義について、普通のうさぎの子宮と比べる、
と言って、シャーレに乗せて見せてくれた・・・。

この辺は内心だいぶきつかった。
一応、「あ、お見せしても大丈夫ですよね!!」という
事後承諾的な確認はあったけど、
謎に興奮しまくって顔を輝かせる先生に
「そういうの苦手なんです」
と言える雰囲気ではなかった・・・。


っていうか、ピンセットであちこちつついて、
ピロピロされて、気持ち悪すぎる・・・。
大手術を成功させてくださった手前、何も言えましぇん。
さすがにひきつった私の顔に気がついて、
ほどほどでやめてくれたけど。
それはとにかく、ありがとうございましたー。


その後はほぼ毎日お見舞いに行き、
沢山の種類の野菜を差し入れた。
この病院では、診察時間内なら、
わざわざお見舞いも、
診察室で対面させてくれる。
「ゆっくりでいいですよ」
と看護士さんが声掛けもしてくれるし。
とても心やさしい病院だ。


うさっぷは、点滴のチューブを噛み切るという
暴挙をやってのけたりしていたが、
看護士さんから甘やかされていたようだ。

お見舞いに毎日持っていった野菜は
ガツガツと食べるので、
病院でも術後の食欲に驚かれつつ、
元気に退院したのだった。


そして今日に至る驚異の回復を見せたのだったー。
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包帯も嫌がらず。
頭隠して・・・